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商標

起業にあたり念頭に置くべき商標戦略(基礎編)

[1] 商標登録を取得する必要性について

まず、最初に、商標登録を取得する必要性について説明します。
商標は、「人の知覚によって認識することができるもののうち、文字、図形、記号、立体的形状若しくは色彩又はこれらの結合、音その他政令で定めるもの」(商標法第2条第1項柱書)を保護対象にしています。例えば、会社設立後に出願する必要があると考えられるものとして商号、ロゴ、商品名、店舗名、サービス名をあげることができます。
商標権には、第三者の使用に対して差止請求権を行使したり、損害が発生する場合に損害賠償を請求することができるといったメリットもありますが、ここで一番考慮すべきことは、自己の商標と同一又は類似する商標を第三者に取得されてしまう場合のリスクです。この場合、仮に商標登録を取得した第三者より先に商標を使用していたとしても、以後の商標の使用が制限されてしまいます。そのため、事業防衛という観点から商標登録を取得することが重要です。

[2] 商標登録を取得する手続きについて

商標登録を取得するためには、「商標登録願」を特許庁に提出する必要があります。
「商標登録願」には、「商標登録を受けようとする商標」のほかに「指定商品又は指定役務並びに商品及び役務の区分」を記載しなければなりません。
「指定商品又は指定役務並びに商品及び役務の区分」には、特許庁が定める45の区分の中から、商標を使用中又は使用する可能性がある区分を選択し、さらにその区分の中から使用中又は使用する可能性のある商品又は役務を記載します。例えば、バックであれば18類、飲食物の提供であれば43類といったように分類されています。

[3] 商標登録出願手続きのフロー

「商標登録願」を作成したら、特許庁に提出します。特許庁に商標登録願を提出した後、手続きは下記のとおり進みます。

※1 審査は、出願から8-9か月後に開始されます。ただし、一定条件の下、早期審査制度を利用することもできます。早期審査制度を利用する場合、出願から1-2か月後に審査が開始されています。

※2 審査では、出願に関わる商標が、商標登録を受けることができる要件を満たしているか、さらには登録することができない事由を有していないか、について審査がなされます。商標登録の要件を満たしていない場合や、登録することができない事由を有している場合は、出願に対して特許庁から拒絶理由が通知されます。この場合、拒絶理由通知の発送日から所定の期間内に手続補正書や意見書を提出することができます。

※3 手続補正書や意見書を提出することで拒絶理由が解消すると、商標登録出願は登録を受けることができます。

[4] 登録手続きについて

商標登録を受けることができる要件を満たしており、さらに商標登録を受けることができない事由を有していない場合、特許庁より登録査定が発送されます。その後、登録査定を受領した日から30日以内に登録料を納付することで、登録が完了します。商標権の存続期間は登録日から10年間ですが、登録料について10年間分を一括で納付するか、前期と後期に分けて納付することもできます。

[5] 印紙代について

商標登録出願の印紙代及び登録時の印紙代は下記のとおりです。

1商標あたり 出願時印紙代 登録時印紙代(10年一括) 登録時印紙代(5年分納)
1区分 12,000 28,200 16,400
2区分 20,600 56,400 32,800
3区分 29,200 84,600 49,200
4区分 37,800 112,800 65,600

※5区分目以降は、1区分毎に出願時印紙代が8,600円、登録時印紙代が28,200円又は16,400円ずつ上がります。

石渡 広一郎

石渡 広一郎

弁理士

OneMile商標知的財産事務所

神奈川県出身。法政大学法学部法律学科卒業後、音楽CD流通会社、芸能事務所での勤務を経て弁理士へ。エンタメ企業での勤務経験を活かしながら、商標、著作権、肖像権等の知財案件に取り組む。