会社設立の基礎知識

デメリット3 事務負担の増加

理論上の問題というよりも実務上の問題ではありますが、税務申告において個人事業主の所得税より法人税の申告の方が複雑ですし、日常的に会計ルールに従った会計処理を行う必要性が高くなります。そのため、会計処理において税理士の協力が必要になったり、税務申告を依頼したりすることが多くなるでしょう。

また、社会保険や労働保険の手続きも従業員の入社や退社などの際に必要となります。こうした場合、社会保険労務士にアドバイスを求めたり、手続き自体を依頼することも多くなります。

さらに株主総会の開催、株主総会や取締役会の議事録の作成、住所の移転や役員変更があった場合の登記手続きなどが法律上求められるますので、この場合は司法書士にこうした手続きを依頼することも多くなり、個人事業主の場合に比べて事務負担が増加します。

もちろん、こうした手続きは、勉強をしながら自分で行うことはできますが、本来会社の事業の成長にエネルギーを注ぐべき起業家がこうしたバックオフィスの事務手続きを行うことに時間と手間を取られることは効率性をそぐことになり、会社の成長の観点からは好ましいこととは思えません。餅は餅屋にというように外部の専門家をうまく利用すべきでしょう。

ただ、個人事業の形態でビジネスを行う場合も、そのスケールが大きくなれば、同じように専門家に依頼した方が効率があがります。したがって、ここでいうデメリットは、比較した場合という相対的なことではあります。