会社設立の基礎知識

メリット1 会社の負債について責任を負わない有限責任である

個人事業主の場合、事業のための借入金、仕入先に対する買掛金その他の負債に対して、皆様個人が責任を負担し、返済義務を負います。これに対して会社の場合は、会社の負債に関し、個人としては責任を負うことはなく、会社が倒産に至っても、皆様個人に返済義務はありません。これが、会社組織にした場合の第一義的なメリットということになります。

なお、こうした有限責任を大原則とした法律上の会社組織においても、金融機関が事業資金の貸し付けに際して、社長その他の役員に対して個人保証を要求し、中小企業ではこの要請を飲まざるを得ない結果、有限責任は有名無実なとものとなっているのが現実であることは否めません。ただ、近年は、こうした傾向に歯止めをかけるために、たとえば、中小企業庁の関与のもと、日本商工会議所と全国銀行協会が共同で設置した「経営者保証に関するガイドライン研究会」によって、中小企業の経営者保証に関する契約時及び履行時などにおける中小企業、経営者及び金融機関による対応についての、中小企業団体及び金融機関団体共通の自主的、自律的な準則として「経営者保証に関するガイドライン」(以下「経保GL」)が策定・公表され、本来の有限責任の原則をできる限り現実のものとする流れがあります。また、私の顧問先の中小企業においても、財政的かつ経営的基盤が確実な会社では、融資に関しては個人保証の提供を行わないといった取引を実現できているところもあります。

いずれにしても、原理原則論としては、有限責任であることが会社設立の第一のメリットということになります。